中東から起こり、長い年月をかけて世界に広まったベリーダンスは、決して同じスタイル、踊り方を踏襲しながら各国に伝わったわけではありません。その土地の文化、時代背景に大きく影響され、さまざまなスタイルのベリーダンスが生まれています。 

ここでは、ベリーダンスのさまざまなスタイルの特徴を紹介していきましょう。


踊りの特徴は、ひとことで言うととても優雅です。手先や腰、足にいたるまで動きが細かいのですが、上下に大きく動いたり、ベールを激しく振るといった大きな動きはあまりありません。またテクニックだけではなく、顔や身体の表情などでたっぷり情感を表わすのも、このスタイルの特徴です。ソロが基本で、即興も多く行われています。


音楽は、ダラブッカやレクなどといった打楽器が主役です。エジプシャンスタイルでは、大音量の生演奏が好まれる傾向にあり、生演奏の床から響いてくるようなリズムとダンサーの動きがぴったり呼応する瞬間は、観客も鳥肌が立つほど見入ってしまいます。

衣裳は、ベルベットなどの光る素材やジョーゼットなどの透ける素材にスパンコールやビーズをたくさん使用するといったエレガントなものが多く、本来は肌の露出は決して多くはありません。


踊りの特徴は、大きな動きが多くダイナミック。ジプシーの踊りに影響を受けているともいわれています。膝をついたり、寝転がったりという、いわゆるフロアーダンスが多いものターキッシュの特徴。ベールの使い方もダイナミックです。また、ヨーロッパの影響を受け流行を取り入れるなど、柔軟に踊り方を変化させるのもターキッシュの特徴です。


音楽は、バイオリンなどの弦楽器の音が強く、高音域が広く感じます。クラリネットが多く使われることやジルの音が高めだということも、高音を特徴づけているようです。ジプシー文化の影響を受けていることから、ジプシー独特のリズムである8分の9拍子の音楽も多いです。

衣装は、エジプシャンよりも肌の露出が多め。足が全部出てしまうような大胆な衣裳も好まれています。ハイヒールなどを履いて踊ることも多く、このことはエジプトのダンサーたちにも影響を与えています。光る素材や透ける素材にスパンコールやビーズを多用するのは、エジプシャンと同様です。


10世紀頃より、北インド周辺から東ヨーロッパ、トルコ、スペインなどを移住したとされる、音楽や舞踊に秀でたジプシー(ロマ、ヒターノ)民族の踊りで、生活に根ざした動作が踊りに反映されているという特徴があります。たとえば、子供をあやす、水を汲む、洗濯物を洗って干すなど。各土地での生活そのものが踊りに反映されているのでしょう。


音楽は、独特の旋律や8分の9拍子などのジプシーリズムが特徴ですが、北インドからヨーロッパまでとその距離も歴史も長いので、音楽や踊るスタイルも厳密にいえばいろいろです。ジプシーたちが踊った、その土地ごとに、そこに生きる人々の思いを反映させた踊り方があるということです。そしてその踊りは、ステージやホールなどではなく、主に路上など屋外で踊られるようです。


ヨーロッパからアメリカにわたり、急速に変化を続けているアメリカ式のベリーダンスと区別するかのように、ベリーダンスをオリエンタルスタイル、あるいはミドルイースタンスタイルと呼ばれることがあります。この中には、上記のエジプシャンスタイルもターキッシュスタイルもジプシースタイルも含まれています。ただし、ジプシースタイルの場合は、さらにヨーロッパへと広がっていますので、すべてのジプシースタイルがオリエンタルスタイル、あるいはミドルイースタンスタイルに含まれるというわけではありません。